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コラム
Volume
05

WordPress、本当に必要ですか?デメリットにご注意

このところ、「WordPress(ワードプレス)でホームページを作りたい」というお見積依頼をよくいただくのですが、誤解も多いように感じられますので、メリットばかりではなくデメリットがあるということをお伝えしたいと思います。

いつ頃からか、格安ホームページ制作会社などの宣伝で「WordPressを入れれば簡単に更新できますよ」という触れ込みをよく見かけるようになりました。そんな風潮の影響からか、お客様の方から「WordPressで作りたい」と連絡があることもしばしばです。

実際、近頃は「WordPress」というCMS(Webサイトの管理更新システム)ツールを使用してWebサイト(ホームページ)が制作されることも多くなってはいますが、内容をよく理解しないまま「とりあえずWordPressなら安くで更新システムが入れられる」と誤解されている方が多いようなので気になるところです。

WordPressを入れるだけで簡単に更新できるようになるんでしょ?

YESかNOかといわれればYESです。文章メインのブログのように文章を流し込むだけなら確かに簡単です

ただ、ビジネス用途となると、実際には写真を挿入したり表を入れたりと、文章以外の要素が少なからず入ってくると思います。それを、標準の本文入力欄でユーザー(読み手)が見やすいように体裁を整えたりするのは、恐らく「カンタン」と聞いてイメージされるほど簡単なものではないのが現実です。特にレスポンシブ(スマホ)対応が必要な昨今では、PCとスマホそれぞれの見え方を考慮しなければならず、例えば写真を2枚を横に並べるだけでもHTMLやCSSの知識なくしては決して容易ではありません

仮に、社内にHTMLやCSSの知識がある人がいるなら、WordPressでも問題ありません。でも、その人が退職してしまったら、次もHTMLやCSSの知識がある人材を雇用しなければいけなくなります。

WordPressなら安くで作れるんでしょ?

こちらもYESかNOかといわれれば、YESです。使いやすさやデザインを考慮しないのであれば安くで済ませることも可能です。

でもそれは、例えばその辺からダウンロードできる無料のテーマ(テンプレート)で済ませたり、ちょこっと色を変えたりしただけのオリジナリティのないものの場合です。安さを売りにしている制作会社の実績を確認してみてください。写真や色を少し変えただけの、似たようなデザインが並んでいませんか?
ビジネスでは他社との違いを見せることが鉄則ですが、他社や他店とほとんど同じような作りや見た目で本当にいいのでしょうか

それだけではありません。特に無料のテーマでは、見た目はそれらしく整えられていても、SEO対策(検索エンジン最適化)ができていない場合が多々あります。しっかりSEO対策をしたい場合には、最低でもSEOについて謳われているものを選ぶ必要があります。

WordPressのメリット・デメリット

それでは、一体どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。簡単にご紹介します。

メリット

  • ある程度の知識があれば、手軽に更新・運用ができる
  • 世界で最も使われているCMSであり、さまざまな機能を追加するプラグインが豊富にある
  • ベースは無料のツールで、プラグインによる機能追加が容易なため、他のCMSと比較して低コストで導入できる

大規模なホームページや更新頻度が高い場合は、運用コストの削減が見込めます。また、通常のホームページより技術的ハードルが下がるため、更新担当者の入れ替わりがあった場合にも学習コストを抑えることが可能になります。
WordPress自体は無償ということもあり、CMSとしては比較的低コストで導入することが可能です。もともとブログ用に開発された経緯があるだけあって、思い通りのレイアウトは簡単ではありませんが、お知らせやブログなど文字ペースで不定形の情報発信に向いています。

標準の編集画面

デメリット

  • 標準状態では、思い通りのレイアウトをするには一定の知識があることが前提となっている
  • 使いこなすまでには学習や慣れが必要
  • 世界で広く使われているだけあって、ハッキング被害に遭いやすい(サイトの改ざんによるお客様からの信頼性の失墜)
  • セキュリティ管理などランニングコストがかかる

WordPressは確かに「他のCMSと比べれば」比較的低コストで導入できます。ただ、ハッキングの標的になりやすいため常にシステムの管理をする必要があり、何もしなくても公開している限り保守費用がかかります(管理ができるだけのスキルがあり、ご自身で管理される場合は不要)。
また、機能追加のプラグインも豊富ではありますが、こちらもWordPressと共に恒常的に管理していく必要がある上、WordPressのバージョンアップにより突如動かなくなることもありえます(実際あります)。

単純にメリットばかりを強調してリスク説明をしない無責任な制作会社も多々見受けられますが、このようなデメリットがあることも念頭に置いておく必要があります。また、「保守費用はかかりません」といってセキュリティの問題を放置したり、月額費用を支払っているにもかかわらずアップデートなどの保守作業を何もしない業者もありますので注意してください。ひどい場合は、保守費用を毎月支払いされていたにも関わらず、アップデート等の保守がされず放置されている事例も目にしています。

よい制作会社の見分け方

デメリットを見て怖くなった、という方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、きちんとした制作会社ならそれほど怖がることはありません。見分けるのは少し難しいですが、例えば次のような点をチェックしてみてください。

  • (制作会社の)実績と実際のサイトを比較して、著しくデザインが崩れている箇所がないか
  • WordPressで制作する場合に、事前に保守についての案内があるか

前者については、制作事例から実際のWebサイトを開き、特にニュースやコラム、事例紹介など頻繁に更新されそうな部分を中心的に確認するといいでしょう。制作会社の制作実績画像から大きくデザインが崩れたり劣化していたりする場合は、管理画面を使いやすくカスタマイズしていない、または「必要以上に触れてしまう」(適切な制限をかけていない=ぐちゃぐちゃになりやすい)と考えられます。

後者についてはもうお解りかと思いますが、セキュリティの観点から保守は重要、むしろ必須要件といってもよいくらいですので、この話が出てこない時点でその制作会社は避けておきましょう

価格には必ず理由がある

何でもそうですが、安いには安い、高いには高いだけの理由があります。
くどいようですが、WordPressの入力画面は標準の状態では、思い通りのレイアウトをするには一定のHTMLの知識があることが前提となっており、誰でも簡単に使えるものではありません。そのため、格安の制作業者でWebサイトを構築すると、結局自分自身で更新ができなかったり、意図するレイアウトにできなかったりというだけでなく、更新したことによって著しくデザインを損なう結果にもなりかねません。外からは見えないだけに、発注前に判断するのは困難です。

また、例えばそもそも年に数回しか更新しないとすれば、WordPressを導入する必要があるでしょうか。
シンカーデザインでは、将来性などを考慮した上で、WordPress化しないことをおすすめすることもあります。WordPressを導入する場合は、“使いやすさ”に配慮し、可能な限りご自身で更新いただけるようにお客様それぞれにあわせて入力画面をカスタムメイドしています。もちろん、WordPressの導入実績も多数ございます。

まとめ

WordPressという言葉や目先の費用にとらわれず、数年先を見据えて判断することが大切です。
初期費用は安いものの、管理画面が使いにくくてせっかく作ったサイトが放置状態になってしまったり、あとからあとから改修費用がかかってくるのと、予め適正な費用を支払って長く気持ちよく使用するのと、あなたならどちらを選ぶでしょうか。