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コラム
Volume
32

Webサイトの分析と改善でコンバージョン率を上げる方法

Webサイトでは、訪問者がサイト内でどのような情報を得て、どのように行動するかが成果を得られるかどうかのカギとなります。よりよい成果を上げるためには、定期的なデータ分析と改善を重ねていくことが不可欠です。
本記事では、Webサイトの分析と改善がどのように役立つかを解説したいと思います。

コンバージョン率とは

コンバージョン率とは、Webサイトを訪問したユーザーのうち、目的を達成した人の割合をいいます。この「目的」は特に明確に決まったものではなく、自社で設定した最終的な成果=アクションに辿り着くことを指します。例えば、ECサイトであれば「商品購入」、コーポレートサイトであれば「お問い合わせフォームの送信」や「資料請求」などが該当するでしょう。
コンバージョンは、必ずしも売上げに直結するものとは限りません。メルマガ登録や会員登録といった顧客との接点作りや、見込み顧客の獲得なども含まれます。

コンバージョン率の計算方法

コンバージョン率は、以下の式で計算されます。

コンバージョン率(%)=(コンバージョン数 ÷ サイト訪問者数)×100

例えば、1,000人がサイトに訪問し、そのうち50人が商品を購入した場合、コンバージョン率は5%となります。

コンバージョン率を上げる最初のステップ

コンバージョン率を上げるための最初のステップは、(コンバージョンを決めていない場合はまずコンバージョンを設定した上で)現状のコンバージョン率を正確に」把握することです。

コンバージョン率の把握には、Google Analyticsなどのツールを使用します。Google Analyticsを使用すれば、訪問者にどのページがよく閲覧されているか、どのページで離脱されているか、どのページがコンバージョンを生んでいるか、といったことが確認できます。まずはデータを分析し、サイト全体の問題点や強み・弱みの洗い出しを行いましょう。

2-1. 離脱率の分析

データの分析において、ページの離脱率(ユーザーがある特定のページを最後に閲覧し離脱した割合)を分析すること重要です。離脱率が高いページは、コンテンツ、あるいはデザイン等の設計に問題がある可能性があります
例えば、ECサイトの商品ページにおいて離脱率が高い場合、そのページの情報が不十分であったり、商品をカートに入れる操作が複雑でわかりにくいのかもしれません。これらを改善することで、ユーザーが離脱せずに次のステップに進む可能性が高まります

コンテンツの質を向上させる

Webサイトに掲載されているコンテンツの質は、コンバージョン率を向上させる重要な要素のひとつです。理由は単純で、Webサイトで提供されている情報が「自分にとって価値がある」と感じれば、必然的にサイトの滞在時間増加やサイト内の回遊(リンクを辿ってサイト内のページを巡回・閲覧すること)、そしてコンバージョンへとつながる可能性が高くなるからです

※回遊そのものは指標のひとつであり、回遊率が上がれば必ずしも成果につながるわけではありません。また、情報が見つけられずに探し回っているだけの場合もありますので、その点は注意したいところです。

3-1. コンテンツは常に最新に


コンテンツは、常に最新の情報を提供することが大前提です。古い情報や誤った情報は、製品やサービス、ともすれば企業そのものの信頼性を損なう原因となります
また、Googleなどの検索エンジンも、作りっぱなしのコンテンツよりも、きちんと管理・更新されているコンテンツを評価する傾向にあります。そのため、コンテンツを定期的に見直し、ユーザーにとって価値のある最新情報を提供することは、結果的にSEO対策にもつながります

3-2. ユーザーにとっての価値を高める

コンテンツを改善する際は、やみくもに情報を増やしたり、企業都合の情報を追加するのではなく、「ユーザーにとって価値があるものかどうか」、「ユーザーが求めているものかどうか」を基準にすることが大切です。分析に基づき、ユーザーが求めているものを理解し、それに応じた情報を提供することで、Webサイトの魅力を高めることができます。

例えば、製品やサービスの説明だけでなく、関連情報や使用例、保証やアフターサービスについて、よくある質問などを追加することで、ユーザーが求める「答え」を提供できるようになります。このようにコンテンツを充実させていくことで、コンバージョン率の向上につなげていくことが可能になります。

ユーザー体験(UX)の改善

コンバージョン率の向上において、もうひとつ気をつけておきたいのが、ユーザー体験(User Experience、UX)です。ユーザーが簡単に操作でき、求めている情報にスムーズにアクセスできるようにすることは、コンバージョン率の改善に直結します。
質の低いUXはWebサイトからの離脱を生み、質の高いUXは訪問者の離脱を防ぎコンバージョン率を向上させます

4-1. ナビゲーションの最適化

Webサイトのナビゲーションがわかりにくいと、ユーザーは何がどこにあるか迷ってしまい、離脱する可能性が高まります。ナビゲーションはできるだけわかりやすく設計し、必要な情報に直感的にアクセスできるようにすることが求められます

例えば最近は、スマートフォンとは違い表示面積に制約の少ないPCで閲覧した時にもナビゲーションを非表示にしているサイトを見かける機会が増えましたが、個人的には一覧性に欠けることから疑問が残ります。実際、ある調査ではPCにおける非表示のナビゲーションは、通常のナビゲーションと比較して約半分の割合でしか利用されなかった、というデータがあります。
これは、ナビゲーションが非表示である=目につきにくくなることで、ユーザーが行いたいタスクに時間がかかり、不満を感じてしまうという結果を招く可能性が高いことを示しています。

4-2.内部リンクの最適化

サイトの内部リンクや関連記事など、サイト内を回遊してもらう仕組みを作ることも大切です。ユーザーがより多くの情報にアクセスしやすくなり、Webサイト全体の回遊性が高まることで、ユーザーはより長時間サイトに滞在し、最終的にコンバージョンに至る可能性も高まります

また、内部リンクを適切に設置することで、UXの向上はもちろんのこと、Googleなどの検索エンジンが効率よくクロール(巡回により検索エンジンのデータベースにコンテンツなどの情報を収集すること)できるようになり、結果としてSEOにも効果が見込めます。

CTAの改善

CTAとは、Call To Action(コール・トゥ・アクション)の略で、「行動喚起」ともいわれます。Webサイトの訪問者にとってほしい特定の行動に誘導することをいいます。
例えば、「問い合わせる」ボタンでお問い合わせフォームに誘導したり、「今すぐ資料をダウンロードする」ボタンで資料ダウンロードに誘導したりすることがCTAです。

Webサイトには、ユーザーにアクションを促すために(多くの場合)CTAを設置しますが、CTAが目立たなかったり、わかりにくかったりする場合、コンバージョン率低下の要因となります
効果的なCTAにするには、以下の3点に注意しましょう。

  • CTAのデザインは、ページ内の他の要素と差別化され目に留まるものである必要があるため、配色やボタンのサイズに配慮する。
  • 「ここをクリック」といった曖昧な表現ではなく、「今すぐ無料でダウンロード」など、具体的かつユーザーが得られるメリットを強調した文言にする。
  • CTAは、ユーザーがコンバージョン行動を取りやすい場所に設置する。例えば、ページの最上部や最下部、記事を読み終えた直後などに配置すると、アクションをとりやすくなります。

5-1. ハードルを下げる

CTAでユーザーにアクションを促しているにもかかわらずコンバージョンにつながらない場合は、設定目標が高すぎるかもしれません。直接的な売上げにこだわらず、まずは問い合わせてもらう、資料ダウンロードで製品を理解してもらう、といったように、目標を見直すことも視野に入れましょう。

フォームの最適化

Webサイトでは、お問い合わせや資料請求、見積もりのためのフォームを設置することが多いですが、フォームの最適化を行うことでコンバージョン率のアップが図れます。

6-1. 入力項目は最小限にする

恐らく今この記事を読んでいるあなたも同じだと思いますが、フォームの項目が多すぎると、「面倒だな」と抵抗感を持ってしまわれかねません
企業側としてたくさんの情報が欲しい、という心理が働くのもわかりますが、ユーザーにとっては時間泥棒でありストレスでしかありません。フォームの項目は、必要最小限にするようにしましょう
例えば、名前、メールアドレス、電話番号の3つだけに絞ることで、コンバージョン率は向上します。

6-2. 入力補助機能の導入

ユーザーの負担を減らすには、入力補助機能も有効です。例えば、メールアドレスの形式が正しいかをチェックするバリデーション機能や、郵便番号から住所を補完する機能などがあげられます。これにより、ユーザーはスムーズにフォームを送信でき、コンバージョン率の向上につながります。

継続的な改善サイクルの導入

Webサイトは作って終わりではなく、継続的に改善のサイクルを回していくことが大切です。ユーザーのニーズや行動の変化に応じて、常に最適化されている状態がベストといえます

7-1. 改善サイクルの設定

Google Analyticsなどのツールを使って定期的にサイトのパフォーマンスを分析し、改善点を見つけて対応する「改善サイクル」を取り入れることで、コンバージョン率の向上を目指します

  1. 分析:収集したデータを元に、改善の余地があるか部分を洗い出す
  2. 改善案の策定:課題に対する具体的な改善策を考察
  3. 実行:改善策をWebサイトに適用し、パフォーマンスが向上するかテスト
  4. 効果検証:改善の効果を評価し、必要に応じてさらなる修正を行う

このように、サイクルを繰り返すことで、コンバージョン率の持続的な向上が期待できます。

まとめ

Webサイトの定期的な分析と改善は、ビジネスの成長に欠かせないプロセスです。Webサイトは、作りっぱなしでは成果を出し続けることは困難です。ユーザーの行動データに基づき、改善サイクルを回していくことは、ビジネスの成長にとって必須ともいえるでしょう。
コンバージョン率を向上させるためには、一過性の改善ではなく、常に最新のデータに基づいてWebサイトを成長させる、という“意識”が欠かせません。

Webサイトの改善を単なる作業と捉えるのではなく、ビジネス全体の成長を促進するための戦略的な取り組みと位置づけることが重要です。どんなに素晴らしい製品やサービスを提供していても、それを適切に伝え、魅力的に見せ、ユーザーに行動を促す仕組みが整っていなければ、コンバージョンに結びつくことは難しいでしょう

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