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成長を続けるEC・ネットショップのメリットとは
ECとはeコマース(e-commerce/電子商取引)の略で、ECサイトはいわゆるオンラインショップのことをいいます。ECサイトを運用することのメリットについて、主に事業者側の視点で、市場調査結果とともにご紹介します。
もはや、なくてはならない存在にまで成長したEC。
オンライン通販への投資に積極的ではなかった企業の赤字転落や倒産が相次いでいます。逆に、ECを積極的に展開している企業が力を持ちはじめています。
まずは、ECの市場規模から見ていきましょう。
拡大が続くECの市場規模
経済産業省による電子商取引に関する市場調査(2021) によると、2021年のBtoC市場規模は20.7兆円(前年比7.4%増)と拡大傾向が続いています。
下のグラフはBtoCのEC市場規模の推移を表していますが、2021年は2013年と比較して約1.9倍に膨らんでいます。
BtoB市場規模はBtoC市場規模の18倍の372.7兆円(前年比11.3%増)と、さらに巨大なスケールにまで成長しています。
また、家計消費状況調査(2021)によると、2人以上の世帯におけるネットショッピングを利用した世帯の割合は、2020年が48.8%、翌2021年には52.7%と半数以上の世帯で利用されており、わずか1年で3.9ポイントもの上昇がみられます。
支出金額についても、前年比6.3%増の平均 35,470円/月と、年間42万円以上をネットショップで支出している計算になります。年を追うごとに、利用割合・支出額ともに着実な増加傾向が続いています。
特に、物販分野(サービス分野・デジタル分野を除く)におけるBtoC市場規模は、1.5兆円増加(前年比8.6%増)と大きな成長を見せています。新型コロナウイルスの感染症拡大による、いわゆる“巣ごもり消費”の影響が大きかった2020年は当然のことながら、翌2021年においても成長を続けています。
このデータは、ネットショッピングの定着が進んでいることを示しているものと考えることができるでしょう。
ECサイトのメリット
では、ECサイトを持つことのメリットにはどのようなものが考えられるでしょうか。順に見ていきましょう。
商圏のしがらみがなくなる
店舗を構えて商品を販売する場合、基本的に商圏は店舗周辺の地域に限定されてしまいます。しかし、ECサイトであれば商圏を日本全国に広げることが可能です。(世界に広げることも不可能ではありませんが、言語対応等が必要ですので敷居は上がります)
また、独自の製品を製造している場合には、業者へ卸すだけでなく直販という形で販売できますので、それまで認知されてこなかった顧客に購入してもらう機会も生まれます。例えば、もともと業者向けに販売していたものが、ネットショップを公開したら思いのほか個人からの問い合わせや購入が増えた、といった事例も珍しくありません。
また、中間マージンがなくなりますので、利益率を上げることにも貢献するでしょう。
店舗維持のコストを削減できる
リアル店舗を増やそうとすると、賃料や光熱費など維持費だけでも高額になりがちですが、ECサイトであればそういった固定費を抑えることが可能です。全国に対応できますので、たくさんの店舗を持たなくてもよいことを考慮すれば、相当なコストカットにつなげることができるでしょう。
また、さまざまな事情で運用が軌道に乗らなかった場合のリスクもリアル店舗ほど大きくありませんので、開店の敷居も低くなります。
それだけでなく、実店舗では開店時間中は常に一定数の人員を配置する必要がありますが、ECサイトではその必要もありません。さらに、店舗の営業時間に関係なく、24時間365日いつでも購入が可能になります。
顧客データを活用しやすい
ECサイトでは、誰が、いつ、どんな商品を購入したか、といった情報を管理できるため、そのデータをマーケティングに活用することが可能です。
例えば、顧客にメールマガジンを送ったり、リピーターにだけクーポンを発行して購入を促す、といった施策を通して売上げの向上を図ったり、固定客を増やして売上げを安定化させるといったことにつなげることができます。
既に多店舗展開されている場合は特に、ECサイトとリアル店舗のデータを双方で活用したり、接客の品質向上につなげられればベストです。
顧客の利便性や結びつきの向上
新たな販売チャネルとしてECサイトを持つことで、リアル店舗の顧客が(距離や時間的制約などの問題で)来店しにくい時でも、顧客の都合にあわせてECサイトを利用する、といったニーズに応えることも可能になります。
事実、総務省の調査によると、ネットショッピングを利用する理由として最も多いのが、「実店舗に出向かなくても買物ができるから(73.7%)」となっています。(社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究 2015年)
また、例えば販売パートナーが店を閉めてしまったり取り扱いをやめてしまったとしても、販売を継続したり、売上げの減少をできるだけ抑える、といった機能性にも期待できます。それなりの臨機応変な対応が必要ではありますが、複数の販売チャネルを持つことで、リスク回避やリスク分散にもつながります。
ECサイトの種類
続いて、ECサイトを開設するにはどのような手段があるのか確認しておきましょう。
ショッピングモール型
楽天、Yahoo!ショッピングなどのように、モールに出店する形式をとるのがショッピングモール型です。集客力の高さが強みで、比較的手軽にはじめられる点が魅力です。
反面、利用料や売上げ課金(販売マージン)などが負担になりがちです。また、かつてあった楽天の送料問題のように、モール側の都合や規則、システムなどに縛られたり影響を受けたりというデメリットもあります。
また、独自の商材を持っている場合にはメリットを最大化しやすいですが、単に一般的な商材を取り扱っているだけの場合には価格競争に陥りやすくなります。
マーケットプレイス型
Amazonのように、商品を「出品」するタイプをマーケットプレイス型といいます。こちらも集客力の高さや信用性の高さが魅力です。ショップを構えるわけではありませんので、ショップ構築にかかる費用を抑えられ、手軽にはじめられる点も魅力でしょう。
ただ、こちらも売上げ課金(販売マージン)が負担になります。また、ショップを構えないということからわかるように、顧客は「Amazonで購入した」という認識になってしまい、自社のブランディングができません。他社も取り扱うような一般的な商材の場合は、ショッピングモール型以上に価格競争になりやすい点も注意が必要です。顧客との結びつき、という点も期待できません。
自社サイト型
独自でECサイトを構築する必要があるので上記2つと比較すると初期投資が高くなりがちですが、カラーミーショップのような安価なASPサービスを利用することで、費用を抑えて開店することも可能です。
集客などを独自に行なう必要がありますが、自社ブランディングが可能なため、長い目で見ると資産化できるメリットがあります。販売マージンや高額な利用料の支払いも必要ありません。
また、上記の2タイプとは異なり、ユーザーの情報を詳細かつダイレクトに把握できる点も強みといえるでしょう。
おすすめのECサイトは?
それぞれにメリット・デメリットがありますが、1つ選ぶなら、初期費用は高くなるかもしれませんが、自社サイト型がおすすめです。
モール型やマーケットプレイス型のように規則や都合に左右されることなく、自由度が高く、ブランド化によって資産化できる点がその理由です。
自社EC(自社サイト型)は難しいと紹介されていることも少なくありませんが、どのタイプでもプロモーションが大変なことは変わりなく、できること・できないことや向いているベクトルが異なるだけです。
例えば、楽天のようなモール型は集客しやすいと言われたりもしますが、やはり自社ECと同様に広告(検索広告や特集・キャンペーン等への広告)に費用がかかります。
それぞれに集客方法の違いや購買ユーザー層の違いなどもありますので、自社ECと楽天の2本立てにする、といったショップも多くあります。
まとめ
ECの市場規模は今後ますます拡大すると考えられ、上でご紹介したようなメリットもたくさんあります。
同業他社がECサイトを持っていない間に先立って、(あるいは同業他社との差が少ない内に)運用や運用ノウハウの蓄積ができれば、競争の優位性においても有利になるといっても過言ではありません。デジタル化が進む現在、いち早くデジタルにシフトすることは、ビジネスの存続にとって喫緊の課題といえるでしょう。
とはいえ、ECサイトを運営することは、リアル店舗と同様に片手間にできるものではありません。リアル店舗と同じくらいの熱量を注ぐ必要がありますし、楽をして稼げるわけでもありません。
しかし、躊躇していてもはじまりません。いきなりは難しいとお考えなら、スモールスタートで小さくはじめましょう。
すべて自分たちで、と考えると荷が重いと感じるかもしれませんが、ECサイトの構築やプロモーションは外部の制作会社などに任せて普段の運用は自社で行なう、といったように切り分けることで、無理なく続けるという選択も可能です。
シンカーデザインでは、これまでのECサイト構築・運用の経験を活かし、お客様それぞれにあわせたご提案をいたします。悩む前に、お気軽にご相談ください。
ECサイトの運用でお悩みの方は、コラム『ECサイト・ネットショップで売上げが伸びない理由とは』もあわせてご覧ください。